バレないように!泣いたこと
近所にできたバーに、早速行ってみたのは、先週の土曜日のこと。
マスターは23歳の好青年であった。
客は私一人。
「もう飲めるの?」
「いいっすよ」
「あっそ。」
勝手に座る私にマスターはこうおっしゃった。
「いとうっす」
見るとネームプレートに「いとうゆうすけ」と書かれている。
「あっそ。ゆうすけくん。じゃ、ハイボールね」
「何がいいっすか?」
実は私、1杯目は無料という立て看板の文字に惹かれたのと、お昼の2時から飲めるあたりに惹かれたのだった。
さすがに…戸惑う私。1杯目でタリスカ―10年を頼むのは気が引ける。
「あの、ジャックダニエルいいっすか?」
「はい!」
音楽はヒップホップが好きなんだって。ゆうすけくん。さすが!と契丹。
それなのに、raw powerとかis this itをごり押し。
そこに会長がやってきて、美人発見!と拉致られて。
近所のスナックへ。さっきまでタリスカーとか飲んでたんだけど、ジンロのハイボールでトイレを催す。けど、私にもプライドが。ぎりぎりまで我慢。そしての放出。その温もりと快感に浸る-w
逢いたくて逢いたくて、銀恋など歌い、82歳の会長と、70いくつの浅草在住に交互に手の甲にキスされながら、会長とタクシーへ乗り込む。
違う…。愛想がいいわけじゃない。音楽の中断。湧き上がる笑いへの冷たい顰蹙。そんなん嫌いなんだ。その場が優しい気持ちであるのならば、冬の冷たい手で触れるなんて、そんなの嫌いなんだ。70いくつの男性はヒップについて語っていたけど、82歳の会長はバストについて語っていた。
いいじゃん。別に。気にしちゃいないし♪
バーで最後は重いやつをストレートで飲んでいて、4杯は飲んでいたし、スナックではもはや、どの程度飲んだかわかりゃしない。
さすがに冷蔵庫の冷たいお茶をゴクッと飲んで、ベッドに倒れた。
深夜2時、己の「痛いよー、痛いよー」という言葉がうるさくて、目が覚めた。最近頭の中を空洞にしたくって、やたらと歩いているんだけど、移り変わる景色しか、瞳孔に映らないみたいに歩いているんだけど、そのせいか筋肉の疲労がすごい。
そこへもってアルコールを大量に飲んだために、どうやら、筋肉が炎症を起こしたらしい。ロキソニンを唇に咥えて、グラスを片手に蛇口をひねる。
そのまま、フローリングに横たわり、痛みが引くのをじっと待つ。
私の思い人はどうしているかな。今すごーく忙しいらしい。頑張れ。
なんのこっちゃかわからない。涙が輝く床に玉と膨らみ光る。
「寂しい時には くちびる噛んで バレないように 昨日泣いたこと」