ウルトラ夫婦の人類愛について
ウルトラ夫婦の人類愛について
ウルトラの父は今日もご機嫌だ。
しかし、わたくしことウルトラの母はそうでもない。
意外にもウルトラ兄弟6人を出産した母だが、性格は意外にネガ。
口癖は「あーあ、やんなっちゃうな」
で
やなことがないとしてもそう言うのである。
父が絶好調であることには理由がある。
それは・・・ゾフィから誕生日プレゼントとして「肩もみ券が」が送られてきたのだ。
しかしそれにしても・・・と母は思う。
というのも父の誕生日は3月だ。
そして今は9月。
我が息子ながら、アホではないのかと疑念を抱く。
まあ、そんなことは枝葉末節であるのであるのだろうか?
人に、そして子に、寛大であらねばと少々反省する母である。
いずれにせよ子供たちは巣立っていき、今育てているのは黄色いセキセイインコのきぃちゃんだ。
セキセイインコをなめている人は多い。
が
意外に狂暴なんである。
そこに目をつけたのが、わたしたちウルトラの父とウルトラの母であった。
慧眼にも、「こいつはいずれ、地球を守る、立派な戦士になるであろう・・・」
ということを見抜いたのだ。
まあ、それは置いといて
夕食も終わり、入浴を済ませた時、ビール(発泡酒)を飲みながら、父と母は愛について語り合う。
私たちはウルトラの父と母であるから、やはり人類愛と「地球を救う」という愛について語り合うことが多い。
今日のテーマは「ネッシー」だった。
箇条書きにさせてもらう。
というテーマだった。
いささか酔っているせいか、「愛はあるっしょ」、「いや、ないっしょ」、「いやいやあるっしょ」、「いやいやいや、ないっしょ」という適当な話を堂々巡りする中、携帯が鳴った。
いやな予感は当たりその電話の主は本間さんだった。
本間さんは少々酒癖がよろしくない。
けれど愛にあふれているのがウルトラの母。
もちろん電話に出るのである。
今日の本間さんは話を妙な角度で切り出した。
「あのさあ、男の人紹介してくれない?」
紹介できる独身の男性。思い当たる人間がいる。
ウルトラの父の先輩なのだが、会うたびに「女の子紹介して」と口走るのだ。
もちろん50代前半、実家住まい、薄毛、メタボリックシンドローム、ケチ、というその男性が特に女性にもてた時期というのもないらしい。
そこで、わたしは本間さんにこう言った。
「紹介できないこともないけど、クレームは受け付けない。約束できる?」
そう、これはメタボリックシンドロームの50代と、本間さんその両方に対する愛からの言葉だ。
そう、言っておくが愛ゆえだ。
そしてその週の金曜日、メタボと本間さん、私たち4人で酒宴を我が家で開いたが、メタボは自分の飲んだ酒代くらいは払うと言うが、ウルトラなわたしたちが断ると、
「あっ、そう?」
と言って帰っていった。
そして本間さんと言えば、酒が進むにつれ
「どうせ、私なんかさあ」
と言いながら沖縄の古酒を手酌である。
ウルトラ夫婦も眠たい午前3時、もちろんいずれ世界を救うきぃちゃんも眠る中、我が家には本間さんの
「どうせ、私なんてダメな女なんでしょ」
等々の「どうせ」が響き渡っているのである。