今考え中だ

こじらせ中年って多いですよね。恋愛市場引退したいような、それでいて、私だってまだまだ的な。「まだまだ、ときめいていたいっ」っていう完璧リア充も多いけど、一方で、わたしなんて、いやー、もう、でも?みたいな人も多いと思うんです。つまらない日常からどうやって目をそらしてこう?というヒントが提示できたらという作品を書いていきたいと思っています。また、考えすぎて頭がバカとか変態になっていしまった方へ向けてのメッセージも込めてます。若い人にも読んでいいただきたい!死ぬからさぁ。

愛ってなんだろう(とドリは考える)

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俺を拾ってくたのは、紀子ちゃんっていう大学生だった。紀子ちゃんはバイトの帰りだった。

 紀子ちゃんは古本や、中古のゲームなんかを売る店で働いていて、値段をつけることも店長に任されていて、すごくかっこよく見えたから、俺はつい、ついて行ってしまった。だけど、紀子ちゃんちでは、翌日犬を飼いに行くことになっていることなんて俺はその時知らなかった。そして紀子ちゃんが、そういう理由もあって、俺をついてくるなと、わざとこぶしを振り上げたそのアクションに、俺は少しビビってしまって、道路を後退した。そしたら走っていた車にぶつかっちゃったんだ。

 紀子ちゃんは、俺を抱いて泣いていた。俺は済まないことをしたと思った。紀子ちゃんに迷惑をかけた。紀子ちゃんを悲しませた。俺も悲しかった。

 そうしてお父さんと紀子ちゃんと車に乗った。家には清美ちゃんもいたというのに、清美は来るな、とお父さんに言われて、階段を昇って行った。俺は清美ちゃんも、何故だか分からないけど、かわいそうだと思った。そして右の後ろ足に金属を入れてもらって、退院したが、明るい所で見るとやけに不細工な犬だという、その一家と、清美ちゃんが仲のいい、タカフミといういとこの人たちの評判に、俺は鏡を見た。確かに不細工かもしれなった。俺はまたすまないと思った。

 俺にはドリと言う名前が付けられた。お母さんが仕事に行くとき、メモ帳に、10個くらい俺の名前の候補を挙げていて、その中には「ドリーム」っていう名前の候補もあった。俺はドキドキした。ドリームなんていう名前を付けられたらたまらない。俺はとても恥ずかしい。そのときいたお母さんと紀子ちゃんと清美ちゃんは、むしゃむしゃとドリトスを食べていて、俺は「ドリ」という名前が付けられた。

 そして夜中の11時に、紀子ちゃんと清美ちゃんと遠出もしたし、雨がどんなに降っていても、必ず朝と晩、俺を散歩に連れて行ってくれたし、そんな時は俺だってなるべく早くうんこをしなくちゃって思った。

 清美ちゃんは病気を持っているようだった。たまに激しく大声をあげて、そのあと自分の部屋でそっと血を流すんだ。俺はそんなこと、とうに知っていたから、俺は俺にルールを与えたんだ。つまり、清美ちゃんが部屋でそうしているとき、必ず、初めはかしかしとドアをひっかき、それでも開けてくれなかったら、ドアにタックルをした。そして清美ちゃんの背中に、片手を置くんだ。それが俺のルールで清美ちゃんが、家を出るまでそのルールを俺は必ず守ったんだ。俺は何かを長続きさせるようなことって、苦手だったけれど、それだけは守った。清美ちゃんは紀子ちゃんの2つ上のお姉ちゃんだった。

 紀子ちゃんを、ヒロアキさんって人が迎えに来て紀子ちゃんはいなくなった。そのあと清美ちゃんも順ちゃんっていう人が迎えに来て、清美ちゃんもいなくなった。俺は知っていた。紀子ちゃんの家、荻窪に俺だけが留守番をして、帰りを待っていると、清美ちゃんはフローリングの床に正座をするんだ。俺は清美ちゃんには俺がいるぜと、清美ちゃんのほっぺたをなめた。すると清美ちゃんのさみしさが、俺を通過するように伝わってくるんだ。俺がいるぜ。俺なりのメッセージを頑張って伝えようとする。すると清美ちゃんは決まって分かってくれるんだ。「そうだね、ドリがいたっけ」。

 そして清美ちゃんもいなくなり、俺はなぜか和室の窓際に座って、人の往来を眺めているようになった。

 そして俺は少し長生きをし過ぎたらしい。ある日お父さんが、散歩に連れて行ってくれて、俺を家の中に入れようとしたとき、何かの大きな音が聞こえたように思って、俺は慌てて外へ飛び出した。お父さんは叫んだ。

「頼む、ドリ、俺を捨てないでくれ」

俺は無我夢中でどこまでも走り、走りすぎていつの間にかお星さまになっていた。

 俺から見えるのは、お父さんとお母さんと紀子ちゃんと智子おばちゃんが、電線や店先に、張り紙をしている姿だった。そしてその3日後見えたのは、お父さんとお母さんと智子おばちゃんが、張り紙をはがしている姿だった。

 今俺は楽しくやってる。懐かしいポロもいたし、なんだかかっこいい吟ちゃんもいた。チーコもいるしルミも、ミーオも、にゃんたもいる。そして小鳥たちもいる。吟ちゃんってやつは、頭がよくて俺にはちょっと理解しにくいことを俺に説明する。つまり、吟ちゃんは順ちゃんの実家で飼われていたんだって。お金も拾ったんだって。けど俺にはどうもピンとこないんだ。順ちゃんの実家。それってどんなところだろう?

 みんなでワイワイやりながら、今は待っている最中だ。誰がここにきても俺たちは、

「俺たちについてくるといいぜ」と言って列を作って、安住の地まで案内する。それが俺たちの役目なんだ。紀子ちゃんありがとう。お父さんラーメンに入っているチャーシューをいつももらっちゃってごめんね。お母さん俺が下痢をすると夜中に何回だって目を覚まし、なあ、清美ちゃん?今はさみしくなくなったかい?俺を外に連れ出してくれてありがとう。翌日の仕事、つらかっただろう?俺がそこにいた時期、俺は迷惑ばかりかけたような気もするけど、俺は幸せだったから、もしかしたらみんなにも、それが伝わって幸せに思ってくれたかな?吟ちゃんは「それは確信なんだが」と偉そうに言う。君がその家にいたとき、必ずその家は愛に包まれていたってね。愛ってなんだろう。